親知らずの痛み止めの種類は?痛みの原因や自分でできる対処法も紹介
親知らずを抜歯したあとは、痛みが続くことがあります。
痛みが治まらない場合は、市販の痛み止めを購入したり歯科医院で処方してもらった痛み止めを使用しましょう。痛み止めには複数の種類があり、それぞれで作用や効果が異なります。
また、親知らずの抜歯後の痛みを軽減するためには適切な処置や生活習慣の改善も重要です。
この記事では、親知らずの抜歯に関する痛みや我慢できないときの対処法、悪化させないために心がけることを紹介します。
親知らずの抜歯に関する痛みについて
親知らずの抜歯について「痛くないかな」と不安に感じる方もいるでしょう。しかし、実際には麻酔を使用して抜歯を行うため、抜くときの痛みは強くありません。
「気がついたら抜けていた」という場合も多くありますが、一方で個人差はあるため、親知らずの抜歯後は痛みが出てくることがあります。
ここでは、親知らずの抜歯後の痛みと強くなるタイミングを紹介します。
抜歯後の痛み
親知らずの抜歯は生えている歯を強制的に抜くため、その際に炎症が発生して痛みが生じます。
炎症は傷を治すために発生する生体反応であり、痛みが出るのは親知らずに限らず他の歯を抜歯する場合でも同様です。
しかし、親知らずの抜歯は歯茎を切開したり周囲の骨を削ったりするなど組織への負担が大きく、痛みが生じやすくなっています。
また、親知らずは乳歯や永久歯のようにまっすぐではなく、横や斜めに生えていることも多く、抜歯するときにさまざまな力が加わって傷が広がりやすいことも特徴です。
特に下に生えている親知らずは、周囲の骨が硬いこともあって上の歯よりも抜歯の難易度が高く、痛みが強く長く続きやすい傾向にあります。
他にも、傷口に細菌が感染することで炎症を引き起こしたり、大きく腫れたりするケースもあります。
抜歯後に痛みが強くなるタイミング
抜歯後に痛みが強くなるタイミングは麻酔が切れた瞬間で、それから当日の間はうずくことがあります。
1日経過すると血が固まって痛みも少しずつマシになってきますが、腫れが生じる場合は抜歯してから2日後くらいに痛みのピークが訪れます。
一般的には1日~2日ほどで痛みや腫れは少しずつひいてくることが多く、1週間もあれば痛みはほとんどなくなるでしょう。
抜歯後の痛みが続く場合はドライソケットの可能性
親知らずを抜歯してから1週間が経過しても痛みが軽減されない場合は、ドライソケットの可能性が疑われます。
ドライソケットとは、抜歯した穴から露出した骨が細菌感染している状態です。
通常は抜歯をすると穴には血餅と呼ばれる血の塊が溜まって治癒しますが、血液が固まらなかったり血餅がはがれてしまうとドライソケットが発症します。
ドライソケットは大きな痛みを伴う場合も多く、抜歯してから1ヶ月頃まで痛みが続くこともあるため早めの対処が必要です。
また、ドライソケットの痛みは抜歯してから数日後に強くなるケースが多く、炎症や腫れよりも遅れて症状が起こります。
抜歯をしても痛みが続く場合は自分で判断して痛み止めを使用せず、歯科医院に診てもらいましょう。
親知らずの痛みが我慢できないときの対処法
親知らずが強く痛むと生活に影響が生じることもあります。ここでは、親知らずの痛みが我慢できないときの対処法を紹介します。
市販の痛み止めを使用する
歯科医院にすぐに予約できないときは、市販の痛み止めを使用して応急処置する方法もあります。
親知らずを抜歯したときには歯科医院から痛み止めを処方してもらえますが、痛みが数日にわたって続くような場合は、痛み止めを使い切ってしまうことも少なくありません。
薬をもらいにいこうと思っても、「忙しかった」「休診日だった」「予約が取れなかった」などの理由から、すぐに歯科医院に行けないこともあります。
歯通の治療は歯科医院が原則ですが、緊急性が高い場合は痛みを我慢せずに市販の痛み止めを服用しましょう。
ドラッグストアや薬局であれば、薬剤師に相談して症状に合った痛み止めを選んでもらうことをおすすめします。
また、市販の痛み止めにも副作用のリスクがあるため、使用する場合は用法・用量を必ず守って使用してください。
受診する
市販の痛み止めを服用しても原因が解消されるわけではないため、痛みが治まらない場合は歯科医院に受診しましょう。
親知らずの抜歯後に起こる痛みの中には、ドライソケットや細菌感染などが発生している場合もあります。
細菌感染の場合は抗菌剤(抗生物質)を投与して症状を抑えますが、これらは市販では販売されていません。
したがって、痛みを抑えるなら市販の痛み止めでも可能ですが、治療するためには歯科医院に通う必要があります。
歯科で処方される親知らずの痛み止めの種類
歯科で処方される親知らずの痛み止めの種類は、カロナール・ロキソニン・ボルタレンなどがあります。ここでは、それぞれの痛み止めを解説します。
カロナール
カロナールは、歯科医院で処方される解熱鎮痛剤の一種です。カロナールの主成分はアセトアミノフェンで、中枢神経や体温調整中枢に作用して炎症や痛みを抑制する働きがあります。
他に比べて作用は緩やかで副作用のリスクも低いことから、妊婦や幼児に処方されることも多い痛み止めです。一方で歯の鎮痛効果は弱めとなっています。
また、副作用としては「発疹や食欲不振」などがあり、罹患している病気によっては症状が悪化するため使用できないこともあります。
持病がある方、ぜんそくやアレルギーがある方などは、歯科医師に相談したうえで使用しましょう。
カロナールは薬局で処方される医薬品で市販薬ではありませんが、同じ成分のバファリンやダイレノールは市販薬で購入できます。
ロキソニン
ロキソニンは、歯科医院で処方される痛み止めの一つです。痛みや発熱の原因となる物質が体内で作られるのを抑える働きがあり、鎮痛や解熱などに効果が期待できます。
主成分のロキソプロフェンは歯痛だけでなく手術後・神経痛・腰痛などにも効果を発揮し、効果の継続時間はだいたい4時間です。
カロナールに比べると作用は早い一方で、胃の痛みやむくみ、発疹などの症状が現れる場合があります。
ロキソニンで起こりやすい症状は胃腸障害であるため、何か食べてから服用しましょう。
また、持病や年齢によっては服用ができないこともあるため事前に相談したうえでの服薬が必要です。
市販薬のロキソニンSは、病院で処方されるロキソニンと同じ成分が使われています。
ボルタレン
親知らずの抜歯後の痛みに対して処方される痛み止めにボルタレンがあります。
ボルタレンは神経痛や腰痛、手術後など全体的に効果的な痛み止めで、ロキソニンと同じ消炎鎮痛効果がある医薬品です。
鎮痛効果は他の医薬品に比べて強い一方で、食欲不振や胃痛、口内炎などの副作用が強く出やすい特徴もあります。
ボルタレンの鎮痛効果は最短15分で即効性があり、痛みをすばやく軽減できるのが特徴です。
持病や体調によっては服薬できないこともあるため、係りつけの歯科医院に相談しましょう。
痛みを悪化させないために心がけること
親知らずの抜歯後に生じる痛みを悪化させないためには、生活習慣の見直しも必要です。ここでは、痛みを悪化させないためにどんなことに注意したらいいかを紹介します。
運動を控える
親知らずを抜歯してから2日~3日間は、激しい運動を控えましょう。
運動を控えた方がいい理由は血液の循環が良くなって血が止まりにくくなり、再度出血するケースがあるためです。
また、親知らずの出血を止める血餅も血流が良くなると溶けてしまうことがあります。
軽いストレッチであれば様子を見ながら行っても問題ありませんが、汗をかくほどの運動や筋トレは控えましょう。
抜歯して2日~3日間すると血が止まってくるため運動を再開する目安となりますが、少しでも気になる場合は控えるか、歯科医院に相談することが大切です。
お酒を控える
親知らずを抜歯してから2日~3日間は、お酒を控えましょう。
お酒を控える理由は運動と同様でアルコールの摂取で血液の流れが良くなり、傷口が出血しやすい状態になるためです。
出血が長くなると傷口がふさがらなくなり、細菌に感染するリスクも生じます。
また、痛み止めが効かなかったり痛みを強く感じることや、抗生物質の効きがよくなって薬による副作用が強く出ることもあるため注意が必要です。
抜歯後の口内のコンディションによっては3日目以降もアルコールを控えた方がいいケースもあるため、気になる場合は歯科医院にタイミングを相談しましょう。
食事に気をつける
親知らずの抜歯後は、食事に気をつける必要があります。抜歯後の食事ができるようになるのは麻酔が切れてからです。
食事が傷口に刺激を与えて痛みを増強させることがあるため、熱くて硬い食事は避けておかゆ・ヨーグルト・ゼリーなどの柔らかいものを取りましょう。
また、抜歯してから数日間は血餅が取れやすい状態になっているため、やわらかい食事を中心に取ることが大切です。
麺類は吸うという行為が血餅を取る原因となるため、一口で食べられるように適切な大きさに切っておくとよいでしょう。
香辛料やスパイスなどは血液の流れを良くして傷口が開いてしまう恐れがあり、患部に刺激を与えて症状を悪化するリスクがあるため注意が必要です。
うがいをしすぎない
抜歯後の穴に生じる血餅の形成を促すためには、うがいのしすぎに気をつけましょう。
抜歯した直後は出血が気になってうがいをする方が多いですが、血液には粘膜を保護する役割があるため治療の観点からは逆効果です。
血餅が溶けてしまうと細菌感染のリスクが高まり、ドライソケットの原因にもなります。
抜歯後は軽くゆすぐ程度にして、穴の組織ができてくるタイミング頃からぶくぶくうがいをしましょう。
抜歯窩を触らない
親知らずを抜いた後は、抜歯窩(ばっしか)を必要以上に触らないようにしましょう。
抜歯窩とは歯を抜いたあとにできる穴の名称で、触ると出血が起こったり縫合していた糸がとれてしまうことがあります。
また、傷口が開くことによってドライソケットが生じることもあるため注意しましょう。
親知らずは横や斜めなどに生えているため、他の歯に比べると抜歯窩ができやすい特徴があります。そのため、食べかすが詰まりやすく抜歯窩を触って血餅が取れてしまうことも少なくありません。
しかし、食べかすをそのまま放置していると化膿して抜歯後感染が起こり、痛みや腫れの治りが遅くなるケースもあります。
そのため、食べかすが詰まったときは以下のような方法で対処しましょう。
- 血餅がとれない程度に軽くうがいをする
- ウォーターピックを使う
- ワンタフトブラシや歯間ブラシを使う
いずれも無理のない範囲で行うことが大切です。
まとめ
この記事では、親知らずの抜歯に伴う痛みや我慢できないときの対処法・痛み止めの種類を紹介しました。
親知らずを抜歯すると麻酔が切れてくるタイミングで痛みが出てきやすく、1日~2日後にかけて痛みのピークが訪れるケースが多いです。
さらに、ドライソケットが生じると痛みが1ヶ月以上続くこともあるため、悪化させないためにも歯科医の指示・注意点を守りましょう。
また、痛み止めは市販で販売されているものを応急処置として使用することも可能ですが、正しく使用しないと悪化するリスクもあります。
気になる場合は自己判断せず、歯科医院で診てもらったうえで痛み止めを処方してもらいましょう。
さくら歯科口腔外科クリニックには、外科チームで形成される親知らず専門外来があります。
痛みにくく腫れにくい治療を行っており、アフターケアにも力を入れています。親知らずの抜歯にとりわけ精通している専門医の治療が受けられるクリニックです。
また、さくら歯科口腔外科クリニックは、多職種歯科クリニックとしてさまざまなお口のトラブルに対応しています。
歯や口にお悩みがある方も、お気軽にご相談ください。