顎関節症は何科を受診する?治療方法や生活習慣のポイントを解説

「口を大きく開けられない」「顎関節に痛みがある」というように顎関節症の初期症状を
自覚したら、何科を受診すべきなのでしょうか。
適切な治療を受けるためには、診療科を正しく選ばなくてはいけません。
受診科や治療方法、自宅でできるセルフケアなど顎関節症に関する内容をまとめました。
顎関節症は口腔外科へ
顎関節症で病院を受診するのであれば、歯科医院、さらに口腔外科という表記のある病院を選びましょう。
普段馴染みの薄い口腔外科について、顎関節症での初めての受診についてお話します。
- 顎関節症は口腔外科を受診
- 顎関節症の受診目安
- 整体や耳鼻科を受診すべきか
顎関節症は口腔外科を受診
口腔外科とは、口腔(こうくう:口のなか)、顎(がく:あご)、顔面ならびにその隣接組織に
現れる先天性および後天性の疾患を扱う診療科です。
顎関節症や顎変形症による口腔粘膜疾患や口臭症などの内科的疾患から、食事や発音の
機能面でもフォローをするというように、幅広い疾患を手がけるのが口腔外科です。
一般歯科は歯に特化した歯科医院ですが、口腔外科はお口全体の病気を治療します。
顎関節症は口腔外科の専門の診療対象となりますので、口腔外科を受診しましょう。
顎関節症の受診目安
顎関節症の疑いで受診をする患者さまの症状としてよくあるのが、
「口の開閉で痛みを感じる」というものです。
他に顎関節症が疑われる症状としては、以下のような症状が挙げられます。
- 口が左右に動かしにくい
- 口の開閉時に顎関節から音がする
- 顎が外れた
- 食事の時に顎が痛む
このような症状があり、だんだんと痛みが強くなっていくような感覚があれば
受診すべきです。
顎関節からの音がだんだん大きくなっていくような場合も同様です。
痛みがなくても不快感があれば受診してもいいでしょう。
整体や耳鼻科を受診すべきか
顎関節症の痛みは顎や口周辺だけでなく、耳や頭、肩や首に症状が現れる場合があります。
「耳鳴りでの不快感を感じたら耳鼻科を受診すべき?」と感じるかもしれませんし、
「肩こりなら整体かな?」と迷ってしまうかもしれません。
しかし痛みの原因が顎関節症なのであれば、耳鼻科や整体を受診しても
根本の解決にはなりません。
痛み止めの処方というような対処療法のみだと、痛みそのものが消えるわけでは
ありません。
顎関節症が原因なのであれば、口腔外科を受診するのがおすすめです。
顎関節症の治療法
顎関節症になると、どのような治療をしていくのでしょうか。
症状に合わせていくつかの治療法がありますので、顎関節症の治療についてご紹介します。
- 運動療法
- 理学療法
- 薬物療法
- スプリント治療
- 外科的矯正治療
運動療法
顎関節症の主な原因は、顎の使い方の癖にあります。
日常生活では食事や会話で口の開閉を行いますが、使い方に癖がある、
噛み方に偏りがあるという場合は、治療をしてもまた顎関節症になってしまう
かもしれません。
運動療法では口の理想的な使い方を指導し、運動機能の回復を目指します。
柔軟性を回復させるためのストレッチや、開口量を広げるための下顎可動化訓練などを
行います。
生活習慣の改善も顎関節症の治療の一環と捉えて、丁寧に取り組みましょう。
理学療法
理学療法とは、マッサージや電気によって血流を促進させて痛みを軽減させる治療です。
指でマッサージをする、低周波による電気刺激を与える、痛みを緩和するための
レーザー照射などがあり、症状に合わせて治療をしていきます。
医師の指示のもと、生活背景なども考慮しながら理学療法を行っていきますので、
疑問点や要望があれば、相談しながら進めていきましょう。
薬物療法
顎関節症で痛みが強く不快感を感じていらっしゃる場合には、痛み止めなどの薬物療法が
行われます。
顎関節や咀嚼筋の痛み、筋肉の緊張が強いと判断された時にも、薬が処方されます。
鎮痛薬や漢方薬で痛みを緩和していきますが、痛み止めは対処療法となり、
根本的な顎関節症の治療ではありません。
スプリント治療
スプリントとはマウスピースのようなもので、患者さまの歯型からオーダーメイドで
作成するものです。
睡眠時の歯ぎしりや咀嚼筋の緊張緩和などを目的とした治療で、数ヶ月の治療期間が
必要です。
スプリントを使用すると、噛む力が均一になり、顎にかかる負担を軽減させられるようになっていきます。
「マウスピースを装着すると歯並びが変わってしまうのではないか」と心配される患者様がいますが、歯並びではなく顎関節部を変化させるものなので安心してください。
スプリント治療は、顎関節症専門医のもとで行うようにするといいでしょう。
外科的矯正治療
顎関節症の症状が進行してしまうと、外科的矯正治療が必要になるかもしれません。
全身麻酔で行う大がかりな手術となり、入院日数も10日前後が目安となります。
顎関節症の外科的矯正治療の術式には、以下のようなものがあります。
症状に合わせて、医師と治療方針を決めていきます。
術式 | 内容 |
---|---|
Le Fort Ⅰ型骨切り術 | 上顎骨を鼻腔の下で 水平に骨切りし分離する |
下顎枝垂直骨切り法 | 下顎枝を下顎切痕から 垂直方向に離断する |
下顎全前部歯槽骨切り術 (下顎セットバック整形) | 下顎の前歯部を後方や 垂直方向に移動させる輪郭整形術 |
上顎前歯部歯槽骨切り術 (上顎セットバック整形) | 上歯を左右1本抜歯し 空いた分だけ上顎を下げる |
自宅で顎関節症の痛みを取る
病院を受診せずに自宅で顎関節症の痛みをとる方法として、以下のような方法があります。
きちんと治療をするためには受診が必要になりますので、あくまでも痛みを和らげるためのセルフケアとして覚えておくといいでしょう。
- 咬筋(こうきん)や側頭筋のマッサージ
- 口のストレッチをする
- 噛み合わせの癖を意識する
咬筋(こうきん)や側頭筋のマッサージ
咬筋とは耳たぶから指2~3本分の場所にある筋肉で、側頭筋とは、こめかみ辺りにある
筋肉です。
軽く指をあてて、痛みが心地よく感じる程度の力で「クルクル」と円を描くように
動かします。
朝・晩で5分~10分程度マッサージしてみましょう。
テレビを見ながらなど、リラックスしながらで良いので、取り組んでいきましょう。
口のストレッチをする
口の周囲の筋肉をほぐすためのストレッチを行います。
筋肉の血流が促進されると顎の緊張を和らげてくれますが、マッサージやストレッチが
組織を傷つけて症状が悪化してしまうケースもあります。
まずは受診をして、顎関節症の症状を診てもらってから、マッサージやストレッチを
しても良いか確認してください。
マッサージやストレッチが可能な状態であれば、お風呂上がりなど体が温まっている
タイミングがお勧めです。
噛み合わせの癖を意識する
理想的な噛み合わせは、リラックス時に上下の歯どこにも接触せずに、
1~3mmの隙間がある状態です。
唇を閉じている状態では上下の歯が接触しないはずですが、癖のある患者様は
どこかが常に接触している状態になっています。
上下の歯が接触してしまう癖をTCH(Tooth Contacting Habit)といい、
TCHは、顎関節症の原因になる場合があります。
まずは、自身の癖を認識し、正しい位置を意識するところからスタートさせましょう。
顎関節症は治るのか
顎関節症の完治とは、痛みや開口障害が緩和されて、日常生活に支障がない状態です。
歯科界でも顎関節症の完治は難しいとされていますが、治療を受けた患者様の多くは
症状が改善しています。
顎関節症の根本の原因を突き詰めていくと、噛み合わせのズレを改善する必要があると
されています。
治療と合わせて生活習慣の改善も求められますので、ご自身の努力やご家族の協力も
必要になるでしょう。
重症度や症状、生活習慣やご希望に合わせて適切な治療をしていけば、
症状は改善されていきます。
顎関節症を放っておくと
軽い痛みであれば「放っておけば治るだろう」「様子を見ていれば大丈夫」と思うかも
しれませんが、痛みが続くのに治療をせずに放っておくと悪化してしまう可能性が
あります。
顎関節症を放っておくと、以下のようなリスクがあります。
- 目・耳・鼻などの痛み
- 頭痛
- 肩こりや腰痛
- 手足の痺れ
- めまい
- 眼精疲労
口腔内や顔近辺だけでなく、全身に不調が広がってしまうかもしれません。
噛み合わせや顎のずれが慢性化し、長期化すると、骨格の歪みに繋がる懸念もあります。
体の複数個所で、不具合が出てくると、原因が顎関節症なのかもわかりにくく
なってきます。
顎関節症の初期症状を感じたら、早めに専門医を受診すべきです。
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顎関節症を予防する生活習慣
顎関節症は毎日の生活習慣と密接な関係があります。
ちょっとした習慣を意識するだけで顎関節症の予防になりますので、
以下のような点を見直してみましょう。
- 姿勢を改善させる
- 適度な運動を心がける
- 噛む習慣を見直す
- ストレス管理をする
姿勢を改善させる
デスクワークで座っている時間が長い方はもちろん、何気なくスマホを見る時間も姿勢を
意識しましょう。
ついつい楽な姿勢になりがちで「猫背になってしまう」「首が前に出てしまう」という方が多いかもしれませんが、このような姿勢だと肩や首に負担がかかり、
顎関節にも大きな力がかかっています。
椅子に深く腰かけて、背筋を伸ばすように意識します。
最初は疲れるかもしれませんが、意識しなくても正しい姿勢で座れるように
習慣化させられると理想的です。
適度な運動を心がける
簡単なもので良いので、日常的に運動を取り入れると肩や首の筋肉を
リラックスさせられます。
肩や首をゆっくりと伸ばすようなストレッチを取り入れてみましょう。
散歩やヨガといった運動もお勧めで、日常的に取り入れられるとストレス発散にも
なります。
噛む習慣を見直す
1日3回何気なく摂っている食事ですが、意識して見直してみると変な癖がついて
しまっているかもしれません。
理想的な噛み方とは、左右の差がなく、両側の奥歯が均等な力で当たっている状態です。
左右どちらかだけで噛んでいるという場合は、左右均等に噛むよう意識してみましょう。
無理やり硬いものを食べようとすると顎に負担がかかるので、無理せず小さくカットしながら食べるなど工夫してみましょう。
ストレス管理をする
ストレスがかかっていると、無意識に顎に力が入り緊張状態になってしまいます。
就寝中に歯ぎしりをする癖がある方も、顎に負担がかかりますので、注意が必要です。
就寝中の歯ぎしりを予防するマウスピースがありますので、自覚症状がある場合は
歯科医院で相談してみましょう。
ストレスを感じた時には、深く深呼吸をするなど、自分なりの心を落ち着かせる方法を
考えておくといいでしょう。
顎関節症に関するよくある質問
顎関節症に関するよくある質問をまとめました。
- 顎関節症は年齢や性別に特徴がありますか?
- 顎関節症の治療は保険適用ですか?
- 子供でも顎関節症になりますか?
顎関節症は年齢や性別に特徴がありますか?
顎関節症の患者さまは、20代~30代が多いという特徴があります。
男性よりも女性の方が多い傾向があります。
顎関節症の治療は保険適用ですか?
顎関節症の治療は、保険適用です。
ただし、顎関節症の治療であっても、歯列矯正やボトックスは保険適用外となります。
子供でも顎関節症になりますか?
10代の顎関節症の患者さまもおり、中学生頃から増加します。
中学生は永久歯が揃うなど歯並びに変化がある時期であり、思春期で学校生活などにも
ストレスを感じやすい年代であるからだろうと予測できます。
まとめ
顎関節症の自覚症状がある場合は、口腔外科を受診するようにしましょう。
放っておくと、頭痛や耳鳴りなどの症状が現れますので、耳鼻科や整体に行くべきかと
考える方がいますが、根本の解決にはならないでしょう。
顎関節症は噛み合わせや生活習慣とも密接な関係があります。
食事や姿勢といった何気ない習慣を改善していく必要がありますので、
通院だけでなくご自身の意識も重要です。
症状が悪化すると外科手術が必要になる場合もありますので、早めに受診をして
専門医にご相談ください。
さくら歯科口腔外科クリニックでは、「顎が痛い」「口が開かない」など、顎のトラブルにマウスピースだけでなく、投薬や理学療法を取り入れた総合的な顎関節治療を
心がけています。
顎関節の治療は、正確な診断と治療を行わなければ長期化や重症化をきたす病気です。
お気軽にご相談下さい。
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※駐車場はございません。近隣のコインパーキングをご利用ください。
行徳駅徒歩1分にある当院は虫歯や歯周病治療だけでなく、親知らずや顎関節症など歯科口腔外科を専門にしたドクターが在籍するクリニックです。また、飲み込みやことばの発達にも積極的に取り組んでいます。 人がひとらしく、生活を営む上で欠かすことのできない要素の一つに「口からものを食べる」という機能があります。 この機能が、病気や障がい、加齢などで低下もしくは失われることは、健康的な生活を送る上で深刻な問題です。 当院では大学講座・大学機関と連携し、一人ひとりに最適な診療を実現できる環境を整えています。 さらに、経験を積んだ歯科衛生士や歯科技工士、言語聴覚士が、患者さまのニーズに細やかにご対応いたします。 歯科口腔外科・矯正歯科・小児歯科・審美歯科・ホワイトニング・歯周病などの治療は行徳さくら歯科口腔外科クリニックにご相談ください。