治療費が高額だから

ほとんどの場合、インプラント治療は保険対象外となるため、1本あたり数十万円という

高額な費用がかかります。治療費は状況や病院ごとにも異なるため一概には言えませんが、

一般的には1本あたり30万円から40万円程かかると考えていただいて問題ないでしょう。

保険対象外であることや歯科治療の中ではトップクラスに高額な治療であることから、

インプラントに対する否定的な意見に繋がる一つの要因であると考えられます。

外科手術のリスクがあるから

インプラントは外科手術であることから、少なからずリスクがあることは確かです。

インプラントの埋入手術では、歯茎を深く切開し、インプラントを直接顎骨へ打ち込みます。

その際、周囲の神経や血管を傷つけてしまう可能性があり、そうなった場合には、

継続的な痛みや痺れ、感覚の喪失などが引き起こされることがあります。

インプラント治療は、あらかじめ歯科CTなどで画像診断を行い、打ち込む場所などを

綿密に計算した上で、慎重に行うことにより、リスクを最小限に抑えていますが、

完全にゼロにすることは困難です。

手術後に痛みや腫れが出ることがあるから

前述のような工程を踏むインプラント埋入手術の後には、数日間にわたり痛みや腫れが出るケースがあります。「インプラントの手術はすごく痛い」という話を聞いたことがある方も

いるかもしれません。しかし、手術後の痛みや腫れは必ず現れるわけではなく、

「全く痛くない」という方もいれば「しばらく痛い」という方もおり、

人によるという部分が大きいです。

できるだけ痛みや腫れが出ないようにする方法としては、「タバコや飲酒は医師の許可が出るまでやめる」「食後はやさしくうがいをする」「手術後は安静にし、しっかり休息する」などを徹底することです。そのほか、医師から言われた注意点があれば必ず守るようにしましょう。

治療期間が長いから

インプラントは埋入手術から完成まで、およそ半年～一年以上かかる場合があります。

これはインプラントが顎骨と結合し安定するまでに、数ヶ月単位で時間がかかることが

理由として挙げられます。

ブリッジや義歯などの治療と比較すると治療期間は長期化しますが、半年から１年程で

自分の歯に近い噛み心地を手に入れられると考えると、決して長い期間ではないと

言えるのではないでしょうか。

メンテナンスが大変だから

インプラントは構造上、天然の歯よりも汚れがつきやすく、細かな汚れが入り込みやすい

傾向にあります。汚れを溜め込まないためには、細かな部分までブラッシングを徹底するなど

毎日のメンテナンスが非常に重要です。

毎日のメンテナンスによって、インプラントの寿命が左右されるといっても過言では

ありませんが、「毎日メンテナンスを頑張るのは無理」「面倒に感じる」といった理由が、

インプラントに、ネガティブなイメージを抱いてしまう一つの要因かもしれません。

しかし、インプラントに限らずご自身の歯を一本でも多く残すためには毎日のメンテナンスは必要不可欠ですので、インプラントを機に日ごろのケアを見直すことで、

ご自身の歯を生涯守ることに繋がります。

医師の技術に左右されるから

インプラント治療が成功するか否かは、歯科医師の技術と経験に大きく左右されます。

一般的に、インプラント治療が成功したと言える判断基準として

「インプラントに動揺がなく安定していること」

「痛みやしびれなどの後遺症が残らないこと」「しっかり嚙むことができること」などが

挙げられます。

インプラント治療には高度な技術と専門知識が必要となりますので、信頼できる歯科医師を

選ぶことが大切です。

信頼できる医師を見極めるためには、質問にしっかりと答えてくれる、インプラント治療の

経験が豊富など、ご自身が「安心できる」と感じる条件を決めておくと良いでしょう。

また、時にはいくつかの歯医者さんの意見を聞き、最も納得できる医師を選ぶのも

一つの方法です。

身体的なリスクを抱えている

インプラントを埋め込む際は出血を伴う外科手術を行いますので、持病などの身体的なリスクを抱えている場合にはインプラント治療が出来ないことがあります。具体例としては、

命に係わるような大病はもちろん高血圧や糖尿病を患っている、血流を促進する薬や

骨粗しょう症の薬を服薬している場合などが挙げられます。

ただし、必ずしも「インプラントが出来ない」という訳ではありませんので、インプラントを

検討する際は歯科医師だけではなく、内科などの主治医にも相談するようにしましょう。

顎骨の量が不足している

加齢や歯周病などにより、顎骨の量が少なくなっている場合にはインプラントの埋め込みが

困難なケースもあります。インプラントは、顎骨に直接インプラントを埋め込む手法であることから、顎骨の量が不足しているとインプラントを安定させることが困難であったり、

埋入した際に周囲の神経や血管を圧迫するリスクが高くなったりといったリスクが

考えられます。

顎骨の量は画像診断などで確認することができますが、あくまでも推測の域を出ません。

また、顎骨の量が不足している場合には人工骨を埋め込むなどして対応することも

可能ですが、費用がかかるほか全てのケースに対応出来る訳ではないため、歯科医師と状況やリスクについて事前にしっかりと話し合うようにしましょう。

日々のケアを行うことが難しい

前述のようにインプラントは、自分の歯と同等ないし、それ以上に入念なケアが必要と

なります。インプラントの周りに細かい汚れなどが詰まったままになってしまうと、

「インプラント周囲炎」と呼ばれる炎症を引き起こす可能性があり、違和感や痛みを伴う

ほか、最悪の場合インプラント自体がダメになってしまうこともあります。

このような事態を予防するためには、毎日の入念な歯ブラシなどが必要不可欠であり、

定期的に歯医者さんでプロによるメンテナンスも行うべきです。日々のケアや定期的な通院が

難しいと予想される場合には、インプラントは向かないと言えます。

自分の歯のように噛める

インプラントで得られる最も大きなメリットとも言えるのが、

「自分の歯のように噛める」ということです。

歯を失った場合のインプラント以外の選択肢は、入れ歯かブリッジが挙げられますが、

「しっかりと噛める（噛む時に力が入れられる）」という視点で考えると、インプラントが

最も自分の歯に近い感覚で噛める傾向にあります。

インプラントを入れたことで、「硬いものでも良く噛める」

「硬さに縛られず好きな物が食べられる」など食の楽しみが増えることで、

食生活はもちろん日々の生活が楽しくなったという方も多いです。

審美性が高い

インプラントのメリットとして、審美性の高さも大きな魅力の一つです。インプラントは

入れ歯やブリッジと比較し、見た目も自分の歯に最も近いと言えます。保険適用の場合、

入れ歯では他の歯に引っかけるための針金が目立ちやすく、ブリッジの場合は、

部位にもよりますが銀歯が含まれる可能性も高いです。

一方インプラントはご自身の歯に近い色味を選ぶことができ、長年使用していても

着色などによる変色が起こりにくく、美しい状態が保たれる傾向にあります。そのため、

他人から見ても自分の歯ではないことに気づかれにくく、美しい歯を保つことができるという点は大きなメリットではないでしょうか。

周囲の歯への負担が少ない

インプラントは周囲の歯を削ったり、負荷をかけたりする構造ではないため、周囲の歯への

負担が少ないというメリットがあります。ブリッジでは隣接する周囲の歯を大きく削って

治療する必要があり、入れ歯の場合は周囲の歯に針金などを引っかけて安定させる必要が

あるため、周囲の歯に少なからず負担がかかってしまいます。

一方、インプラントの場合は自分の歯のように自立することができるため、周囲の歯を

弱らせることなく、結果として自分の歯を多く守ることに繋がります。

寿命が長い

インプラントは適切な手術とメンテナンスを行えば、他の治療方法と比較して非常に寿命が

長い傾向にあります。一般的に、入れ歯の寿命は4～5年、ブリッジの場合は10年程と言われていますが、インプラントでは90％以上の人が15年以上使えているという結果が出ており、

適切なメンテナンスを行えば30年から40年以上使えることもあります。

（参照：厚生労働省『歯科インプラント治療のためのQ&A』）

インプラントの治療費が高額というイメージがありますが、寿命の長さを考慮すると、

決してコストパフォーマンスは悪くない選択肢と言えるのではないでしょうか。