PMTCで虫歯や歯周病から歯を守る!施術の流れや料金などを徹底解説
今までは歯科医院は虫歯を治療する目的で利用するものでしたが、近年は治療だけではなく予防医療にも注目が集まっています。
歯科医院でPMTCの言葉を耳にした方もいらっしゃるでしょう。
PMTCは歯科衛生士による専門的な口腔内クリーニングを指しますが、実際にどのような内容なのかが気になるポイントです。
本記事では今注目されているPMTCの概要や処置の流れ、メリットや料金を説明します。
PMTCってどのようなもの?
PMTCとは、Professional Mechanical Tooth Cleaningの略です。
普段の歯磨きでは取り除けない汚れを、歯科衛生士のテクニックと専門機械を用いて取り除き、歯のクリーニングをおこなう施術です。
歯は、毎日お手入れをおこなっている方でも自分で行うブラッシングだけでは取り除けない汚れが蓄積し、やがて歯周病や歯石の原因となってしまいます。
しかしPMTCでは、専用の機械とフッ化物入り研磨剤を使い、セルフケアでは落ちづらい隣接面や歯頸部・最後臼歯部後方・矯正装置装着部・歯周ポケットなどの汚れを除去できます。
PMTCを定期的に受け、口腔内クリーニングをおこなっておけば虫歯や歯周病、歯石の付着を予防できるでしょう。
PMTCのメリット
PMTCには多くのメリットが存在しますが、メリットを知らずに受けている方も少なくありません。
PMTCには3つのメリットが期待できます。
- バイオフィルムを剥がす
- 歯がツルツルになる
- 歯の白さを取り戻せる
本章では施術内容を理解して受けたい方へ、3つのメリットを詳しく説明していきます。
バイオフィルムを剥がす
歯の表面には、目に見えないバイオフィルムという薄い膜が存在していますが、バイオフィルムは歯ブラシで除去できません。
バイオフィルムはそのまま放置しておくと、細菌の繁殖や汚れが付着するため除去が必要です。
PMTCでは、7,000〜10,000回転する専用の電動歯ブラシを使い歯面にこびりつくバイオフィルムを剥がし取り、きれいで健康な歯を実現します。
歯がツルツルになる
PMTCでは、歯を1本1本丁寧に磨きバイオフィルムを除去していきます。バイオフィルムを除去すると、普段の歯磨きでは得られないツルツル感を味わえるでしょう。
また、歯の表面がツルツルになると汚れが付着しにくくなり、結果として虫歯や歯周病の予防につながります。
歯の白さを取り戻せる
PMTCでバイオフィルムを剥がす際には、専用の機械で丁寧に磨きあげ、作業を行います。
磨きあげると、歯の表面に付着した汚れや着色を同時に除去でき、歯が持っている本来の白さを取り戻せるでしょう。
歯本来の色よりも白くしたい場合には、ホワイトニングなど特別な処置を行いますが、元々が白い歯ならPMTCのみでも十分にホワイトニング効果を感じられます。
PMTCの流れ
PMTCの施術を初めて受ける際には、どのような流れで行うのか知っておきましょう。
施術は以下のような3つの工程からなっています。
- 歯の表面の汚れ(プラーク)を落とす
- 歯間の掃除をする
- フッ素を塗布する
歯の表面の汚れ(プラーク)を落とす
PMTCではさまざまな器具とフッ化物入り研磨剤を用いて、歯の表面についたプラークを除去していきます。
プラークが石灰化すると歯石ができますが、歯石があるとプラークの蓄積を促進するためきれいに取り除かなければいけません。
歯石は普段の歯ブラシではとれませんし、さらに歯周ポケットなどにも発生し、放置しておくと歯石にプラークが付着し虫歯や歯周病を引き起こしてしまうでしょう。
そのため、歯科医により専用のスケーラーを用いて機械的に取り除く必要があります。
歯石除去後、染色剤でプラーク付着部位を確認し、ペーストと回転式器具を用いて歯肉縁下3ミリ程度までのプラークを除去します。
見落としがないよう汚れを落とす研磨粒子の粗いタイプから仕上げ用の細かいタイプ、吸着剤で汚れを取るペーストなどを用いて細部までの磨きあげが必要です。
歯間の掃除をする
歯石除去や歯面清掃が終わったら、次はフロスや歯間ブラシを用いて歯の間を掃除します。
歯と歯の間には磨き残しも多く、プラークが蓄積しやすい箇所です。
磨いているつもりでも磨きグセもあり、同じ箇所にプラークが残り続け虫歯や歯周病の原因となります。
大人になると歯茎が下がって物が詰まりやすくなり歯と歯の間からの虫歯が増えてくるため、入念にお手入れをおこなわなければいけません。
フッ素を塗布する
歯の歯石や汚れを取り除いたあとはフッ素塗布を行います。歯の掃除をして、仕上げに高濃度のフッ素を塗布すると歯面強化に繋がります。
普段私たちが使用している歯磨き粉にもフッ素は配合されていますが、歯科医院では9,000ppmの高濃度フッ素塗布が可能です。
普段のお手入れで低濃度フッ素を取り入れて、定期的にPMTC後の高濃度フッ素塗布を行うと、多くのフッ素を取り込め歯面の強化に繋がります。
虫歯になりかけている白濁といわれる箇所にも、フッ素塗布の継続的な使用で虫歯の進行を食い止める効果が期待できます。
PMTCは保険が適用される?
PMTCは虫歯や歯周病などを治療するものではなく、予防が目的で施される施術です。
日本の保険制度では予防目的の治療には保険適用がされておらず、PMTCも保険適用外となります。
しかし、十分な予防を怠ってしまうと虫歯や歯周病を引き起こし、最悪の場合には歯を失うおそれがあります。
虫歯や歯周病、失った歯の治療には時間と費用が必要で、その点を加味してもPMTCは有効です。
歯石除去に関しては保険適用となりますが、一度で行える本数は限られており、すべての歯をきれいにするには時間と手間が必要です。
PMTCであれば、1日ですべての歯をきれいにできるのはメリットでしょう。PMTCは、保険適用ではありませんが医療費控除の対象です。
年間の医療費が10万円を超えると所得控除が受けられるため、忘れずに手続きを行いましょう。手続きに必要な領収書は保管しておきましょう。
PMTCの料金
PMTCは虫歯や歯肉炎などの治療ではなく、予防を目的とした施術です。
このため日本の保険制度では自由診療となっていますが、一定の条件下ではPMTCも保険適用されるケースがあります。
本章では、PMTCの自由診療と保険適用について、費用や適用要件を詳しく説明します。
自由診療の場合
PMTCを自由診療でおこなう際の料金相場は、8,000円〜15,000円ほどです。
価格には倍ほどの格差がありますが、これは自由診療の特徴で、各クリニックが自由に価格設定をおこなうために差が生じます。
安くて5,000円以下、高くて20,000円以上のクリニックもあり、内容もそれぞれのクリニックごとに特徴があります。
処置の時間も60分〜90分と開きがあり、施術内容と時間が価格差に反映しているケースが多いです。
自由診療の料金は決して安くはありませんが、専用の器具や薬剤を用いて行うクリーニングは、セルフケアでは落ちづらい汚れを落とします。
歯周病や虫歯の原因を徹底的に除去し、罹患のリスクを格段に下げ、健康な口腔を維持するためにも定期的なPMTCは重要です。
保険適用の場合
PMTCの目的は予防であり、歯周病や虫歯になる前に行います。
このため治療に関して認められる健康保険は適用されず、基本的には自由診療です。
しかし、歯のクリーニング自体は健康保険の範囲内でおこなえるものもあります。
健康保険の範囲内でおこなう歯のクリーニングでは、初診でも3,000〜4,000円と比較的安く、気軽に受けられる価格設定です。
ただし保険で受けられる歯のクリーニングは、自由診療でおこなうPMTCと異なり、使える器具や回数の制限に注意しましょう。
自由診療のPMTCでは、保険の範囲を気にせずクリーニングが行えるため、より高い効果が期待できるでしょう。
PMTCはこんな人におすすめ
通常のセルフクリーニングや保険診療内の歯のクリーニングではなくPMTCを行った方がよい症状があります。
PMTCは、以下のような人におすすめです。
- 虫歯や歯周病を予防したい
- 過去の治療でブリッジや被せ物がある
- 歯列矯正の矯正装置を装着している
- 歯の着色汚れが気になる
本章では、それぞれの症状とPMTCに期待できる効果を説明していきます。
虫歯や歯周病を予防したい
PMTCは虫歯や歯周病を予防したい方や、なりやすい方におすすめの施術です。
普段から丁寧に歯磨きをおこなっていても、セルフケアだけではすべての汚れを取り除けません。
歯磨きで取り残していた汚れは虫歯や歯周病のもととなってしまい、歯磨きだけでは不十分です。
しかし、定期的にPMTCによるお手入れは原因となる磨き残しを除去でき、効果的に虫歯や歯周病の予防ができます。
過去の治療でブリッジや被せ物がある
過去に治療した被せ物の段差やブリッジなどは磨き残しが起こりやすい箇所です。
気をつけて磨いているつもりでも、ちょっとした段差など、うまく歯磨きができていない方が多くみられます。
同じ箇所に磨き残しが続くと虫歯や歯周病を引き起こしてしまうため、定期的にPMTCを受けて磨き残しを取り除きましょう。
歯列矯正の矯正装置を装着している
歯列矯正をしていると虫歯になりやすいといわれていますが、原因は歯列矯正の装置装着箇所に付着した汚れが取れにくいからです。
歯列矯正では矯正装置が取り付けられており歯ブラシが届きにくい箇所が存在し、歯磨き指導を受けてもうまくできず磨き残しが生じます。
矯正中に虫歯が発生してしまうと、治療を優先し矯正を中断しなければならないケースも発生します。
中断を防ぐにはPMTCを定期的に受け、汚れを取り除き虫歯リスクを軽減しましょう。
虫歯リスクが軽減されるだけでなく口腔内がすっきりとする効果もあります。
歯の着色汚れが気になる
PMTCは虫歯や歯周病予防だけでなく、歯の着色が気になるときなど、審美的にもおすすめの施術です。
歯は、元々の色もありますが、タバコやコーヒー・赤ワイン・お茶などの食品で黄色く着色する場合があります。
歯の表面に着色したステインは、PMTCできれいに除去が可能です。
しかし、歯の表面でなく歯自体が変色してしまっているケースでは、歯の表面についている汚れを落とすPMTCでは落とせないため、ホワイトニングをおこないましょう。
まとめ
歯磨きの磨き残しは、誰にでもありますが、磨き残しは虫歯や歯周病の原因となってしまいます。
虫歯や歯周病は歯を失うだけでなく、健康にも影響を与えるため定期的にプロによるPMTCを受けるとよいでしょう。
PMTCは予防目的の自由診療で、虫歯や歯周病のリスクを考えると予防を行う方が効果的です。
歯の健康は QOLにも大きく影響してくるため、定期的なPMTCでのメンテナンスがおすすめです。
PMTCはプロの技術が必要なため信頼できるクリニックを選びましょう。
さくら歯科口腔外科クリニックにはさまざまな専門外来が設置されており、歯に関するあらゆる悩みに対応可能です。
歯の汚れや磨き残し、メンテナンスを希望されるならぜひ一度お問い合わせください。