健康な歯と「美味しく食べる生活」を守る親知らず抜歯について口腔外科医が解説します。
「親知らずを抜くか?・抜かないか?」
何となく悩んでいらっしゃる方は多いと思います。
当院でも開業7年目に入らせて頂きましたが、
若い方で10代からご高齢ですと70代まで幅広い方が親知らずの抜歯を悩まれています。
今回は、このように親知らずを抜くか?・抜かないか?で悩んでいる方に正い情報をお伝えしたいと思います。
【目次】
- そもそも「親知らず」とは何か?
- 「親知らず」って何で生えてくるの?
- 人類の「親知らず」は実は無くなる運命にある??
- 現代の食生活では親知らずは不必要!
- 抜くか?・抜かないか?一人で悩まずに、いかに痛くなく困らないやり方でとっとと抜くか?を考える!
- 親知らずをどこで抜くか?
- 今回のまとめ
そもそも「親知らず」とは何か?
親知らず とは、
正式には第三大臼歯(third molar)と呼ばれ、歯の列で一番奥に生えてくる永久歯のことです。
この歯は上下左右に1本つづ存在し、早い方では10代、多くは20代で生えてくるものです。
「親知らず」って何で生えてくるの?
皆さんは上野などにある自然博物館に行かれたことはおありでしょうか?
私たちの祖先である原始人?の上顎(うわあご)や歯の化石を見ると、
何と、ちゃんとしっかりと親知らずがあるんですね!
つまり、もともと人類には共通して親知らずという歯が存在あるんです。
これは、硬い植物繊維(しょくぶつせんい)の食べ物をしっかり奥歯ですり潰し、消化に良い状態にするために必要であったと考えられています。
人類の「親知らず」は実は無くなる運命にある??
昔の日本人、また多くのアジアの国々の人はお米や穀物を主な主食として生きていました。
これには、長くしかもしっかりと奥歯で噛んで、食物をすり潰し、小さくして飲み込む必要があるんです。
ですから、奥歯が1本多いことにはとても意味がありました。
しかし、現代の人の食事は、主食がお米からパン、またその他多くの多彩な食事を楽しむ時代となりました。
あえて硬い植物の繊維を噛まずとも、色んな食材があるんです。
そこで、現代は「親知らず」自体の必要性が無くなっているんです。
実際に、親知らず自体は生物の退化(たいか)の対象となっていて、どんどん無くなっています。生物は、どんどん不必要な臓器や器官が無くなっていくんです。
これは50年くらい前から論文でも指摘され、今では歯科医学の常識となりました。
実際に当院でも本来4本の親知らずを持っているはずの患者さんですが、実は親知らずありません!なんてことも珍しくありません!!
現代の食生活では親知らずは不必要!
こんな大それた事を言うと怒られるかもしれませんが、私は現代人の食生活や口の環境から、親知らずは不必要だと断言できます。
前にも述べたように、まず現代の食生活は必ずしも主食としてお米や硬い穀物のみを食べる時代ではありません。パンやスープ、その他非常に多くの食材を個人の好みや考え方によって選べる時代です。このような時代には、奥歯で食物を必要十分に咬むためには、今ある歯(特に親知らずの手前2本の大きな歯)があれば十分です。
いやいや周りの歯がダメになった時に親知らずを抜かずに残しておいた方が良い場合がある・・・と言う歯医者さんもいらっしゃいます。私も実際にそう思って過ごしてきました。
しかし長い期間、歯医者としてお一人お一人の親知らずの経過を見させてもらうと、やっぱり一番奥で磨きづらい場所が理由となって、結局は虫歯や歯周病となるリスクが一番高いんです。
親知らずが虫歯や歯周病となれば、それ自体は不必要で抜けば良い!と思いますが、それよりもっともっと大切な周りの歯を結局はいじめ弱くしてしまうんです。
大切な事は、親知らずよりもその周りの歯をいかに健康に保たせるか!この事の方が、限りある人生の内で最も合理的で前向きな発想だと思います。
抜くか?・抜かないか?一人で悩まずに、いかに痛くなく困らないやり方でとっとと抜くか?を考える!
周りの歯を危険にしてしまう。そしてそもそも現代に不必要な親知らずについて悩むことは本当にもったいないことです。その時間をもっと大切な事に費やした方が、よっぽど人生も楽しくなります。
私は、親知らずで悩むべきは、
「抜くか?抜かないか?」
ではなく、
「どうやって痛くなく困らない抜歯をするか?」
に集中すべきだと思います。
親知らずをどこで抜くか?
日本全国どこでも親知らずを抜くのに一番最適な歯医者さんは、
「日本口腔外科学会」と呼ばれる学会に所属し、専門医あるいは認定医または会員として登録されている先生がいらっしゃるところで抜いて頂くこと適切です。
いわゆる口腔外科医とは、日本口腔外科学会に所属し歯のみでなくお口・顎・顔面の全ての外科治療を専門にする先生のことです。
口腔外科医にとって親知らずの抜歯とは、外科手術の基本中の基本。だけど本当に熟練して抜歯と向き合わないと、良い口腔外科医には絶対になれません。日々研修及び実践を多く繰り返し、技術と知識を高いレベルまで追求することが求められます。
そんな口腔外科医にとって親知らずの抜歯とは・・・?
「どうやって抜歯するか?」
ではなく、
「どうやって痛くない・腫れない抜歯にするか?」
がテーマなんです。
是非とも自宅近くの口腔外科の先生を知りたい方は、ぜひ下記HPより検索をなさると良いです。
今回のまとめ
・親知らずはもういらない歯と言って良い
・抜くか?抜かないか?を悩むより、どこで誰に抜いてもらうかが大事
・親知らずの抜歯に適した歯科医師は口腔外科学会に所属している先生である